東南アジアを中心とする発展途上国の医師を日本に招き、日本の先進医療の研修を行い、その成果を派遣元の国々の医療水準向上に役立てるという国際貢献と、研修を通じて日本と派遣元の国々との友好関係を促進するという国際親善を目的とする事業です。
元々この事業は、JCMT(Japanese Council for Medical Training)プログラムとして、1982年通商産業省(現経済産業省)によって始められました。現在までの約40年の間に、合計317名の医師がプログラムを修了し、多くの卒業生の方々は、それぞれの国の中核的医療機関で医療水準の向上に取り組み、活躍されています。
この間、2007年をもって国からの資金提供は終わりましたが、その事業趣旨に賛同する民間企業各社のご協賛によって、従来同様のプログラム内容で事業を継続することができました。その後、2020年から2年間は新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大により、フェロー招聘の中断を余儀なくされましたが、2022年より再開しております。JCMTは、この事業の歴史を今後とも積み重ねて参ります。
毎年7月、2ヶ月間の研修を終えた研修生と虎の門病院の先生方、協賛企業の代表者、(財)貿易研修センターの方々等関係者が集まって打ち上げのパーティーが行われる。研修生のホッとした明るい笑顔と虎の門病院の先生や事務局スタッフとの心温まる交流を目にする度に、私は、何にも代えられない充実感を味わう。そして、日本も明治以来、欧米先進国からこのように沢山のことを学びながら今日を迎えたのだろうとの思いを新たにする。
研修生の日本関係者への謝辞と自国の医療水準向上への熱い思いのスピーチを聞きながら、この事業の歴史の重みを感じる。こうした事業の一つ一つの積上げが発展途上国の近代化を支え、また、それを通じて培われる日本への信頼感こそが日本の真の力になっていくのだと思う。
関係者のご理解を頂きながら、この事業が末永く続いて欲しいと切に願う。
評議委員長 渡辺 修(石油資源開発株式会社 特別顧問)